リベラ・クラシカ公演 即興的な意外性も
古典派音楽を専門とする古楽器楽団「オーケストラ・リベラ・クラシカ」の演奏会を聴いた。常よりハイドンを活動の中心にする団体だが、今回のプログラムは今年で没後200年を迎えたこの作曲家の作品のみで構成されていた。
交響曲2曲(第3番と第44番「悲しみ」)に加えて、同じ機会に初演されたと言われる「サルヴェ・レジーナ」ホ長調とオルガン協奏曲ハ長調の組み合わせを実現したのは、記念年を祝う演奏会としては出色のプログラムだ。一般に知られていない「宝の山」である初期・中期のハイドンの紹介に努める音楽監督、鈴木秀美のこだわりが感じられる。
最近の鈴木は交響曲ではチェロを弾きながら楽団を統率するようになった。そのためか、バス声部の動きが際立つ。交響曲第3番の冒頭、穏やかな跳躍下行で始まる主旋律に付けられたバスの対旋律が躍動感に溢れていたのは、チェロに鈴木自身が加わったためだろう。
指揮に専念していた頃に比べると、楽団を厳格に統率した上での一体感は薄くなったが、次の瞬間に音楽がどう変転していくのか先の読めない即興的な意外性が強調されるようになった。交響曲第44番でのホルンの強奏が時に打楽器的なアクセントで全体を威圧したのにも驚きであった。
古楽器楽団の中でも特に演奏法の均一性を高めて、見通しの良い音響を生み出していたこの楽団。筆者の想像だが、鈴木は方向性を変えようとし、今は過渡期にあるようだ。その変化に楽員がどう反応するかが、今後の課題であろう。
(音楽評論家 安田和信)
ー5月27日、築地・浜離宮朝日ホール。


